呼吸に耳を澄ますと、体の奥にひそむ小さな緊張に気づく。
肩や首に残っている力は、普段は気にも留めないのに、
意識を向けるとそこだけ別の時間が流れているように固まっている。
そのこわばりに光を当てる。
「ここに力がある」と気が付くように意識を向ける。
筋肉は少しずつ、無意識の領域へ沈んでいく。
吐く息とともに、硬さは空気に溶けて外へ流れていく。
吸うたびに新しい風が入り、吐くたびに余計なものが離れていく。
体は、ゆっくりと「力を忘れる」方向へ歩き出す。
緊張は悪者ではない。
ただ守ろうとしてくれているだけだ。
けれど、呼吸にゆだねれば、やがてその鎧は自然と外れる。
体が力を忘れたとき、
心もまた、ほんとうに安らぐ場所へ戻っていく。