11時35分。
眠れなくなるのは嫌だから、少し薄暗い灯りの中でキーボードを叩いている。
空気清浄機の低い音と、時計の針の規則正しい音。
その隙間に、指先の打鍵音が混ざる。
冷蔵庫を開けたら、飲み残しのビールがあった。
きっと妻が飲もうと思ったけれど、眠くなって、そのまま寝てしまったのだろう。
もしかしたらテレビを見ながら、ゆっくり飲むつもりだったのかもしれない。
明日のことを考えると、心が少しざわつく。
気づけば、こんな時間まで仕事をしている。
効率が悪いことは分かっている。
それでも、キーボードの音が止まらないのは、
この静かな夜を手放したくないからかもしれない。