我が家では、明かりを消す時に残すほんのりした灯りのことを「赤ちゃん電気」と呼んでいる。いまは、赤ちゃん電気をつけて、タイピングをしている。
今は長野で夏休み。窓の外から、鈴虫やコオロギの音がやわらかく届く。
休みの初日は、どうしてもはしゃぎたくて、お酒を多めに用意する。
楽しみたいワクワクのため鼻息をふごふごさせながら、夜を迎える。
でも、たいていすぐ眠ってしまう。
期待値が高すぎるんだよね。
落ち着こう。まだ夜はある。落ち着こう。
赤ちゃん電気の下で、畳の匂いがふわりと立ち上る。
その匂いに耳を澄ますように、鈴虫の音が染み込んでくる。
夜がゆっくり、肌に馴染んでいく。
――まだ寝ないよ。絶対に。