AIの喋り方を短くすると、トークンは減ります。
ただし、口調だけを削ると、答えまで雑になりやすいです。
2026年4月4日、Om PatelさんはXでこんな投稿をしていました。
要点はシンプルです。 I executed the web search tool のような言い方を、Tool work のように縮めると、そのぶん出力トークンは減ります。
この話は半分正しいです。
喋り方を変えるだけでも減ります。
でも、本当に効くのは「どこを常駐させて、どこを毎回渡すか」を分けることです。
この記事では、その順番で整理します。
Xで話題の「原始人みたいに話させる」は、なぜ効くのか
Om Patelさんの投稿では、通常の言い回しよりも、極端に短い言い回しのほうが同じタスクでも出力トークンを減らせると紹介されていました。
ここで見ていいのは、キャラ作りではありません。
1回ごとの言い換えコストです。
| 言い方 | 例 | 印象 |
|---|---|---|
| 普通 | I executed the web search tool |
丁寧だが長い |
| 短い | Tool work |
短いが少し荒い |
同じ意味でも、毎回の言い回しが短ければ積み上がるトークンは減ります。
特に、進捗報告やツール実行の説明が多いエージェントでは効きやすいです。
ただし、このやり方をそのまま真似すると、読みにくくなることがあります。
だから実務では、喋り方だけを荒くするより、短いルールに置き換えるほうが安定します。
結論。パーソナライズは必要だが、全部を混ぜると弱くなる
パーソナライズには意味があります。
何も入れないと、AIの判断や文体は毎回ぶれやすいからです。
ただし、ここでやりがちなのが、長い設定を足すことです。
思想、背景、過去ログ、好み、禁止事項を全部まとめて渡す。
これは一見ていねいですが、実務では重くなりやすいです。
理由は単純です。
読む量が増えるだけでなく、どれを優先して判断すべきかが曖昧になるからです。
だから、やるべきことはひとつです。
全部を足すのではなく、層を分けることです。
- 自分向けで効く核は残す
- 毎回変わらない共通部分は外に出す
- 今回だけの条件はその都度渡す
この形が、一貫性と低コストを両立しやすいです。
なぜ重くなるのか。問題は文字数より判断ノイズ
AIが重くなる理由を、文字数だけで考えるのは危険です。
少し長くても、判断軸がはっきりしていれば安定します。
逆に短くても、次のような状態だと迷いやすいです。
- 何を優先するのか分からない
- 何を書かないべきか分からない
- 口調の指定だけ細かく、判断基準が薄い
たとえば、長い voice.md に世界観や背景が並んでいても、
「結論を先に出す」
「最小差分で進める」
「一般論を引き延ばさない」
のようなルールが弱ければ、実務ではぶれます。
大事なのは説明の量ではありません。
迷いを減らせているかです。
つまり、喋り方を短くするのは一部です。
本体は、判断ノイズを減らすことです。
入れるべきものと、削るべきもの
パーソナライズで残すべきものは多くありません。
入れるべきもの
- 思考ルール
例: 先に結論を出す、仮説で進める、最小差分で直す
- 出力スタイル
例: 一文を短くする、不要な前置きを書かない
- NG
例: 一般論で引き延ばさない、選択肢を増やしすぎない
この3つは、AIの判断と出力の芯になります。
ここがぶれると、毎回別人のような結果になりやすいです。
削るべきもの
- 長い背景説明
- 毎回変わらない前提文
- 過去ログの貼り付け
- 人格設定だけが細かい説明
これらはゼロでいいとは限りません。
ただ、常駐ルールとしては重くなりやすく、優先順位も下がりやすいです。
要するに、残すべきなのは物語ではありません。
意思決定のルールです。
自分向けで効くものは、ちゃんと残していい
ここは誤解しやすいところです。
自分向けで本当に効いているものまで消す必要はありません。
たとえば、次のようなものです。
- 自分の仕事の進め方に強く合う順番
- 自分が嫌う説明パターン
- 自分だけの判断の癖を補正するルール
- 自分の文章で守りたい温度感
これらは、他人にもそのまま合うとは限りません。
でも、自分には効くなら残す価値があります。
なぜこういう形にするのか。
理由は2つです。
- 一番効く部分は、その人の失敗パターンを潰すルールだから
- そこを削ると、ただの一般テンプレに戻ってしまうから
つまり、削る対象は「私向けだから」ではありません。
毎回効いていないもの、優先順位を下げるもの、他の条件に埋もれるものです。
公開用はコードに切り出すと強い
同じような人にも使えそうな部分は、公開用に分けたほうが使いやすいです。
- 個人用:
voice.mdやカスタム指示に、自分の判断基準を残す - 公開用: 汎用テンプレを
yamljsonmdなどで配る
この2層に分けると、自分専用の強さを失わず、他の人にも再利用してもらえます。
図にするとこうです。
常駐ルール
├─ 判断ルール
├─ 文体の芯
└─ NG
毎回の依頼
├─ 今回の目的
├─ 対象ファイル
└─ 完了条件
公開用は、たとえばこんな形にできます。
voice:
- 結論を先に出す
- 無駄な説明を省く
- 構造で考える
rule:
- 最小差分で進める
- 必要なら仮説で進める
- 最後に変更点だけ報告
ng:
- 長文説明
- 一般論
- 選択肢を増やしすぎる
コードとして公開する価値はここです。
相手がゼロから考えなくてよくなります。
しかも、自分用に一行ずつ差し替えやすいです。
毎回プロンプトに書くものと、常駐させるものを分ける
ここを分けると、かなり楽になります。
常駐させるもの
- 判断ルール
- 文体の芯
- 禁止事項
これは毎回変わりません。
だから voice.md やカスタム指示に置く価値があります。
毎回プロンプトで渡すもの
- 今回の目的
- 対象ファイルや対象テーマ
- 今回だけの制約
- 完了条件
これは案件ごとに変わります。
常駐ルールに混ぜると、逆にノイズになります。
この分け方をすると、毎回のプロンプトは短くできます。
しかも、AIの判断も安定しやすくなります。
関連記事として、依頼文そのものをどう短く強くするかは Codexの消費量は短文で減る? 迷わせない依頼文の作り方 でも整理しています。
すぐ使いたいなら、この上のコードをそのままコピペして、自分用に一行ずつ直せば十分です。
やると負けやすいパターン
次の形は、パーソナライズを入れているつもりで、逆に弱くしやすいです。
voice.mdを長文化して何でも入れる- 毎回すべてのルールを貼る
- 背景や思想の説明が長く、実務ルールが短い
- 口調の指定ばかり細かく、判断基準がない
こうなると、AIは「どう書くか」には反応しても、
「何を優先して決めるか」が弱くなります。
実務で効くのは、おしゃれな人格設定ではありません。
短くても迷わない運転ルールです。
まとめ
喋り方を短くすると、たしかにトークンは減ります。
ただし、それだけでは足りません。
残すべきなのは次の3つです。
- どう判断するか
- どう書くか
- 何をやらないか
そして、自分向けで効く核は残していい。
共通化できる部分はコードとして外に出せばいいです。
結論はひとつです。
人格を丸ごと増やすな。判断基準を残せ。
喋り方は最後に少し削ればいい。
この分け方が、いちばん強いです。
よくある迷い
パーソナライズは入れないほうが軽いですか?
完全に入れないと、判断や文体が毎回ぶれやすくなります。
大事なのはゼロにすることではなく、短く絞ることです。
voice.md は必要ですか?
毎回同じルールを渡しているなら、あると便利です。
ただし、長い説明書にするより、判断基準だけを残すほうが機能しやすいです。
自分専用で効いている設定も削るべきですか?
削る必要はありません。
自分の失敗を防いだり、判断を安定させたりするなら、それは残す価値があります。
毎回プロンプトに全部貼るのはだめですか?
だめとは言いません。
ただし、毎回同じものを長く貼るほど、コストとノイズは増えやすいです。
共通ルールは外に出し、今回の条件だけ足すほうが安定します。
同じような人にも使える形にするなら、どう公開すればいいですか?
個人用ルールとは別に、汎用部分だけを md yaml json のテンプレとして分けるのがおすすめです。
その形なら、他の人がコピペして自分用に直しやすくなります。
何文字くらいまでに絞るべきですか?
厳密な正解はありません。
読み返したときに優先順位が一目で分かる長さを目安にしてください。