フリーメイソンが赤十字を設立って本当なのかな?
赤十字社(せきじゅうじしゃ)とは、スイス人実業家アンリ・デュナンの提唱により創立された、「人道・公平・中立・独立・奉仕・単一・世界性」の7原則を掲げて、世界各国に存在する人道的活動団体である。国の内外を問わず、戦争や大規模な事故や災害の際に敵味方区別なく中立機関として人道的支援を行う。
組織的には「ジュネーヴ条約」とこれに基づく国内法によって、特殊な法人格と権限を与えられた団体である。多くの国では、識別マークはデュナンの母国スイスの国旗の色を反転した、白地に赤い十字(赤十字)を採用している。呼称については「赤十字社」が一般的だが、中華人民共和国と中華民国では「紅十字会」、また北朝鮮では「赤十字会」と呼んでいる。また、イスラム諸国では、「十字はキリスト教を意味し、十字軍を連想する」として嫌われたため、白地に赤色の新月を識別マークとし、「赤新月社」(せきしんげつしゃ)と呼んでいる(インドネシアはイスラム教国であるが例外的に「赤十字社」である。またパキスタン、マレーシア、バングラデシュなどは設立当初は「赤十字社」であったが、のちに「赤新月社」に変更した)。2007年3月1日現在、152ヵ国に赤十字社、33ヵ国に赤新月社が設立され活動を行っている(イスラエルの赤盾社を含めると計186ヶ国)。他にも「ダビデの赤盾」(イスラエルでの呼称はマーゲン・ダビド公社(赤盾社))、「赤獅子太陽」(王制当時のイランにおけるイラン赤獅子太陽社。1980年以降は使用されていない)など種々の標章が乱立した事から、赤十字・赤新月に代わる共通の(=第三の)標章採用が提案された(なお「ダビデの赤盾」は今までに承認されたことはない)。これには加盟国の合意に基づくジュネーブ条約の改訂を要する為に議論は紛糾したが、2005年12月8日の総会において全会一致原則の総会では異例である投票による賛成多数により、赤の菱形を象った宗教的に中立な第三の標章「Red Crystal(レッドクリスタル、赤水晶、赤菱形、赤菱)」が正式に承認された。「Red Crystal」の標章の意味や法的効力は従来の赤十字・赤新月と完全に同一である。また、この標章は単独で用いる以外に中の白地の部分に独自のマークを入れても構わない。このため「Red Crystal」の中に「ダビデの赤盾」のマークを入れた標章を用いることで、イスラエルの赤盾社は国際赤十字への加盟が出来る事となり、赤十字国際委員会は同社を正式に承認した。同様に国内での宗教勢力のバランスから赤十字・赤新月の標章を併用したいと主張しているエリトリア等の国や地域でも、「Red Crystal」の中に赤十字・赤新月両方のマークを入れた標章を使用することで国際赤十字への加盟を期待している。赤十字の標章及び赤新月の標章(類似のものを含む)は、「戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する1949年8月12日のジュネーブ条約」(ジュネーブ諸条約の第一条約。傷病者保護条約)第44条により赤十字社・赤新月社と「軍隊およびこれに準ずる組織の医療・衛生部隊の人員・施設資機材」、つまり衛生兵が独占的に使用することになっており、条約加盟国では他の法人などがこの標章を使うことはできない。これは、赤十字・赤新月の関係者・施設資機材は、人道上、戦地・紛争地でのあらゆる攻撃から無条件で保護されねばならない存在だからである。単に医療施設を表すのではないことが厳格に規定されている。ただし、各国赤十字社・赤新月社から許可を受けた上での、救急車や救護所での平時の使用は例外的に認められている(第44条4)。
日本国内においては、「赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律」によって、第1条に規定された赤十字、赤新月、赤のライオン及び太陽(ダビデの赤盾やレッドクリスタルについては規定がない。)の標章及び名称の使用は、日本赤十字社(第2条)及びその許可を受けた者(第3条)のみに制限されており、みだりに使用した場合は懲役または罰金刑に処される(第4条)。しかし、一般の病院、薬局、テレビ番組、広告などでの誤った使用が後を絶たないことから、日本赤十字社では誤用しないように呼び掛けている。
なお、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律第157条第2項では、武力攻撃事態等においては、指定行政機関の長又は都道府県知事が、医療機関や医療関係者に赤十字標章等を使用させることができるとされている。
歴史
1859年 – アンリ・デュナン、北イタリアでソルフェリーノの戦いに遭遇
1863年 – 「国際負傷軍人救護常置委員会」(五人委員会。現・赤十字国際委員会)が発足。赤十字標章等を定めた赤十字規約を採択。
1864年 – スイスなど16カ国が参加した外交会議で、最初のジュネーブ条約採択(陸戦に適用)
1867年 – 第一回赤十字国際会議
1876年 – 赤十字国際委員会結成、イスラム圏で赤新月の使用始まる
1881年 – アメリカ赤十字結成
1887年 – 日本赤十字社結成
1899年 – ハーグ陸戦条約締結。ジュネーブ条約の適用を海戦にも拡大
1901年 – アンリ・デュナン、第1回のノーベル平和賞を受賞
1907年 – ハーグ陸戦条約改定、中国紅十字会結成
1914年 – 第一次世界大戦勃発
1917年 – 赤十字国際委員会がノーベル平和賞受賞
1919年 – 赤十字社連盟結成(本部:パリ)
1928年 – 赤十字国際規約採択
1929年 – 捕虜の待遇に関する条約を追加したジュネーブ条約に約50カ国が批准、加盟。イスラム圏における赤新月マークの公認
1939年 – 第二次世界大戦勃発、赤十字社連盟本部パリからジュネーブに移転
1944年 – 赤十字国際委員会が2回目のノーベル平和賞を受賞
1949年 – ジュネーブ四条約を採択
1963年 – 赤十字国際委員会、赤十字社連盟とともにノーベル平和賞受賞
1977年 – 四条約に追加される2つの議定書を採択
1983年 – 赤十字社連盟、赤十字赤新月社連盟と改称
1991年 – 赤十字赤新月社連盟、国際赤十字・赤新月社連盟と改称
2005年 – 新たな標章(レッドクリスタル)を定めた第3追加議定書を採択
日本赤十字社(にっぽんせきじゅうじしゃ)は、1952年に制定された日本赤十字社法(昭和27年8月14日法律第305号)によって設立された特殊法人。社員と呼ばれる個人参加者の結合による社団法人類似組織である。日本において赤十字活動を行う唯一の団体。略称は「日赤」(にっせき)。名誉総裁は皇后美智子、名誉副総裁には、代議員会の議決に基づき、各皇族が就任している。代表者である社長は近衞忠煇(旧公爵近衛家当主)。
略歴
1877年(明治10年) – 前身の「博愛社」創立
1886年(明治19年) – ジュネーヴ条約に加入
1887年(明治20年) – 「日本赤十字社」に改称 当時の標章は日章の下に赤線一本(キリスト教を嫌った三条実美太政大臣の「耶蘇のしるしじゃ」の一言で変えさせられた)
1888年(明治21年) – 磐梯山噴火で世界初の平時救護(それまでは「戦時救護」のみ)活動・日赤初の災害救護活動でもある。
1890年(明治23年) – オスマン帝国特派軍艦のエルトゥールル号遭難事件に際して救護班を派遣する。
1920年(大正9年) – ロシア革命で取り残されてしまったポーランド孤児救済を実施する(第1次)。
1942年(昭和17年) – 太平洋戦争に際して捕虜救恤委員部を設置する。
1952年(昭和27年) – 日本赤十字社法施行、血液銀行開設
1959年(昭和34年) – カルカッタで日朝赤十字社により在日朝鮮人帰還協定が締結。
※この後も国内外での戦争、紛争、大規模災害などの直接・間接的な救援活動は数知れず。
※阪神・淡路大震災では各国赤十字社の救援を受けた。特にスイスからの災害救助犬の派遣は前例がなく受け入れにスムーズさを欠いたが、活動開始後は被害者の救出に威力を発揮し、災害救助犬の重要性を認識させた。
歴代社長
日本赤十字社社長 代数 氏名 任期 階級・官公職・爵位・学位・称号
1 佐野常民 1887年5月24日 – 1902年12月7日 〔職〕農商務大臣 〔爵〕伯爵 〔称〕日本赤十字社名誉社員
2 松方正義 1902年12月 – 1913年12月 〔職〕内閣総理大臣 〔爵〕公爵
3 花房義質 1911年12月30日 – 1917年2月21日 〔職〕枢密顧問官 〔爵〕子爵
4 石黒忠悳 1917年2月21日 – 1920年9月4日 〔職〕陸軍省医務局長 〔爵〕子爵
〔軍〕陸軍軍医総監(中将相当官) 〔学〕医学博士
5 平山成信 1920年9月4日 – 1929年11月2日 〔職〕内閣書記官長
6 徳川家達 1929年11月2日 – 1940年6月5日 〔職〕貴族院議長 〔爵〕公爵
7 徳川圀順 1940年6月25日 – 1946年7月19日 〔職〕貴族院議長 〔爵〕公爵 〔軍〕陸軍少佐
8 島津忠承 1946年7月19日 – 1965年2月13日 〔爵〕公爵 〔称〕日本赤十字社名誉社長
9 川西実三 1965年2月13日 – 1968年2月13日 〔職〕埼玉県知事
10 東龍太郎 1968年3月15日 – 1978年3月31日 〔職〕東大教授、茨城大学長、東京都知事 〔学〕医学博士〔称〕東大名誉教授、名誉都民、日本赤十字社名誉社長
11 林敬三 1978年4月1日 – 1987年3月31日 〔職〕住宅・都市整備公団総裁 〔称〕日本赤十字社名誉社長
12 山本正淑 1987年4月1日 – 1996年10月 〔職〕厚生事務次官 〔称〕日本赤十字社名誉社長
13 藤森昭一 1996年10月 – 2005年3月 〔職〕宮内庁長官、内閣官房副長官 〔称〕日本赤十字社名誉社長
14 近衞忠煇 2005年4月 – 〔職〕日本赤十字社副社長 〔爵〕(旧近衛公爵家当主)