親父のゲームセンターのアカウントを止めに行った。
生きている時から、月額課金が続いているのが気になっていた。
葬式が終わって、一段落した。
だから止めに行くことにした。
でも本当は、止めたくなかった。
心のどこかで、体調がよくなって、またゲームセンターに復帰する親父を見たかったからだ。
親父は競馬ゲームをやっていた
親父がやっていたのは、セガの競馬ゲームだった。
スターフォース4と聞いていた。
いくら使っていたのかは、正直わからない。
ただ、親父は「100万枚メダルがある」と言っていた。
ゲームの中では、5900万枚もの賞金を獲得していたらしい。
競馬ゲームの賞金だから、実際にはもっと稼いでいたことになると思う。
それを聞いた時は、すごいなと思った。
同時に、どれだけここで遊んでいたんだろうとも思った。
アカウントを止めにゲームセンターへ行った
葬式が終わって、少し落ち着いたころ。
私はゲームセンターへ行った。
目的は、親父のアカウントを停止することだった。
店員さんに聞くと、辞め方はゲームセンターではなく、ゲームを作っているセガに連絡して手続きしてください、とのことだった。
その話を聞いている時、なんだかドキドキした。
ただ手続きを聞いているだけなのに、変な感じがした。
ここでいつも遊んでいたんだと思った
ゲームセンターの中にいると、親父がここで遊んでいたことが急に現実になった。
ここに来ていたんだ。
ここで座っていたんだ。
ここで競馬ゲームをしていたんだ。
そう思うと、なんだか寂しくなった。
アカウントの辞め方を聞くだけなのに、胸がざわざわした。
きっと悲しかったんだと思う。
本当はまだ遊んでいてほしかった
私は、課金を止めに行った。
でも本当は、止めたくなかった。
アカウントが残っている間は、どこかでまだ続いている感じがした。
親父がまた元気になって、ゲームセンターに戻ってくる気がしていた。
でも、もう戻ってこない。
そうわかっているから、止めに行った。
親父の遊んでいた場所を見に行けてよかった
ゲームセンターに行くまでは、ただの手続きだと思っていた。
でも違った。
そこは、親父が最後のほうまで通っていた場所だった。
遊んでいた場所だった。
楽しみにしていた場所だった。
課金を止めるために行ったのに、私は親父の時間を少し見に行ったのだと思う。
まだゲームセンターで遊んでいてほしかったな。