CPUの強さを変えるとき、体力や攻撃力を増やす方法がある。今回のT2 PHAGEでは、相手の動きを見てから判断する速さと、そこから何を読むかに違いを付けた。同じ機体でも、待つ、近づく、避けるという行動が変わる試作だ。
左右それぞれに知能Lv.1〜5を選べる機能を追加し、10月1日に公開版へ反映した。ローカルで判断の違いを確認し、その後、通常の公開URLでもLv.1とLv.5のCPU対戦が始まることを確認した。
同じ判断をするCPUから、違う動きをするCPUへ
変更前のCPU同士の対戦では、左右とも約80ミリ秒の間隔で相手を観測し、同じ判断の仕組みを使っていた。武器や移動性能の違いはあっても、考え方の違いが出にくい。今回の出発点は「それぞれの知能レベルによって、相手の動きへの反応に個体差を出したい」という依頼だった。
Lv.1の観測間隔は480ミリ秒、Lv.5は75ミリ秒。間のレベルは320、200、120ミリ秒にした。観測と観測の間には、直前に決めた行動を続ける。毎フレーム相手の情報を読み直して、いつも正解へ動く仕組みにはしていない。
低いレベルでは、見えている位置を中心に狙う。高いレベルでは、観測した移動から少し先の位置を予測し、近づいてくる弾への回避や、射撃エネルギーの回復も判断する。遮蔽物の裏の動きや、相手がこれから押すキーを読むことはできない。
ここでいう「知能」は、ゲーム内の判断ルールの呼び名だ。対戦しながら学習して強くなるAIを作ったわけではない。レベルを上げると必ず勝つことも、まだ確かめていない。

賢さと性格を別にする
12機体には、知能とは別に、保ちたい距離、横へ動く量、待ちの傾向を付けた。長射程型は距離を保ち、散弾型は近づき、速射型は横へ動く。重砲型は機動を抑えて待つ傾向を持たせている。
同じLv.3でも、機体が違えば同じ場面への答えが変わる。体力、弾の威力、移動速度を知能レベルで上乗せする変更はしていない。賢さの差を見たいのに、単に丈夫な機体が勝っていた、という混同を減らすためだ。
確認できたのは、判断回数と記録の再現
ローカルのPC画面で、同じT2狙撃型を左右に置き、Lv.1とLv.5を対戦させた。一度の確認時点で、判断回数は12回と74回、射撃数は4発と5発だった。判断間隔の差が実際の動作へ反映されていることは確認できた。これは一試合の途中の値で、勝率や楽しさを示す数字ではない。
知能差を作った段階では、関連する42件のテストが通った。公開前には武器・ため技・狙撃判断の確認を加え、50件が通った。観測の間は前の行動を保つこと、見えない相手の動きを読まないこと、接近する弾への対応、同じ知能でも機体によって間合いが変わることを確認している。
リプレイには試合当時の知能レベルも保存した。選択画面の設定を変えてから再生しても、記録したLv.1とLv.5が表示された。今回のリプレイは記録した動きを再生する方式なので、再生時にCPUが考え直して別の試合になることはない。
対人戦は公開済み。でも別回線の確認は残っている
この試作と並行して、人との対戦を優先し、相手が見つからないときや接続できないときはCPU戦へ切り替える版を公開した。友達と同じ対戦用URLから入る入口と、CPU戦中の対戦申し込みも統合している。
公開画面の二つのタブで、射撃後のHPが15から11へ減る結果が双方に一致し、右移動の位置も一致した。片方が退出した後に、もう片方がCPU戦へ移ることも確認した。URLからの接続と、CPU戦中の申し込みを受けた後の開始はローカル確認の記録がある。
ただし、別々の回線の二人で同じ確認をしたわけではない。回線によっては直接接続ができず、CPU戦へ切り替わる可能性がある。共有用の保存コード発行と、レビューを送って承認・掲載する全工程も、今回の記録では確認が揃っていない。
公開版は T2 PHAGEで遊ぶ から。12機体から左右の機体を選び、知能レベルを変えて「CPU VS CPU」を押すと観戦できる。

武器と表示も、対戦の流れに合わせて調整する
狙撃型は、狙いを定めるために止まり、相手の動きが落ち着いたところを狙い、必要なら位置を変える判断を加えた。ガトリングの一発の威力を20%上げ、散弾の広がりも見直している。これで全機体のバランスが取れたとはまだ言えない。
ひとりプレイでは、後ろ方向と射撃を1.2秒ため、射撃を離すと専用のSP攻撃を出せる。再使用には8秒の待ち時間がある。撃つの3連打で使うボムには回復までの表示を加え、左右のHPゲージと中央の残り時間で試合の状況を追いやすくした。ため技とボムはローカルの動作確認記録があり、そのファイルが公開版と一致することを確認した。別回線の対人戦でのため技の動作は今回確認していない。
次は「賢い」と「面白い」を別々に調べる
判断回数が増えるだけで、見ていて面白くなるとは限らない。正確に撃ち続けるだけのCPUより、距離を取って誘い、相手が近づいたところへ反撃するCPUのほうが、動きの意味を読み取りやすい可能性がある。これは次に確かめたい仮説だ。
まず同じ機体、初期位置、HP、武器で知能だけを変え、左右を入れ替えて複数試合を記録する。次に知能を揃えて、距離や待ち方の個性だけを変える。命中数、回避、弾を撃たずに待った時間を記録すると、勝敗だけでは見えない差を比べられそうだ。この比較と追加計測はまだ実施していない。
もし回避が多すぎて試合が長引くなら、まず弾を先読みする範囲を狭める。待つ機体が攻撃できなくなるなら、射撃を控える条件を調整する。HPや威力を一緒に変える前に、どの判断が試合を止めているのかを記録から探したい。
ゲームと音楽制作の現在地
今週はKING OF SKAのMV公開と、モアイの足音を音楽へ組む試作も進めてきた。MVとモアイ制作ログの記事は公開済み。一方、モアイのゲーム内音楽編集機能は前回の記録ではローカル段階だ。今回、それらの公開状態を新しく確認する作業はしていない。
T2の対人戦とCPUの知能差は、転送と公開画面の確認まで進んだ。作ったもの、公開したもの、実際に動いたものを分けて残すことで、次に何を確かめるべきかが見えてくる。






