Jevを見て、最初に試したくなったのはゲームだった。
敵が攻撃するか、逃げるか。アイテムを拾うか、無視するか。プレイヤーを警戒するか、まだ様子を見るか。
ゲームには、文章にするほどでもない小さな判断がたくさんある。
巨大なAIを一度だけ呼ぶより、小さな判断を短い間隔で何度も回したい世界だ。
敵の行動を一文で生成しなくていい
たとえば敵キャラクターへ、周囲の状態を渡す。
- プレイヤーまでの距離
- 残り体力
- 近くにある遮蔽物
- 仲間の数
- 直前に攻撃されたか
その状態に対して、attack、hide、retreat、waitから一つを選ぶ。
Jevには、候補から一つを選ぶChoiceがある。決めた選択肢だけを返すため、自由文から行動名を探す必要がない。Jevのドキュメント
ここで大事なのは、AIにキャラクターのすべてを任せないことだ。
Jevが返すのは判断で、移動、攻撃、当たり判定、アニメーションは通常のゲームコードが実行する。
顔と身体を小さな判断に分ける
3Dキャラクターの反応も、一つの巨大なプロンプトにしなくていい。
目はどこを見るか。眉をどれくらい上げるか。口を閉じるか。身体を相手へ向けるか。距離を取るか。
それぞれを小さな判断に分け、最後に一つの反応として組み合わせる。
これは人間の表情を正確に再現する魔法ではない。判断を分けることで、どこが不自然だったのかを調べやすくする方法だ。
目線だけが違うのか。身体の向きが遅いのか。警戒度の尺度が悪いのか。
全部を一度に生成すると、失敗の原因も一つの塊になる。小さな判断なら、直す場所が見える。

Agentの頭脳ではなく、反射神経として使う
この考え方は、CodexやClaude CodeのようなAgentにも使えそうだ。
「このtool callはまだ必要か」
「この結果を採用してよいか」
「別のtoolへ切り替えるべきか」
「人間へ確認を戻すべきか」
JevがAgentそのものになるというより、途中の小さな分岐を担当する。
Agentの反射神経として入る感じだ。
実際にJevをAgentの評価器として使い、判断の精度、ばらつき、速度、費用を比較した小規模な公開実験もある。ただし対象は5件のAgent実行記録で、一般的なモデル順位を証明するものではないと実験者自身が明記している。jev-as-a-judge
この注意書きは大事だ。
新しいモデルを見つけると、すぐに「何倍速い」「どちらが賢い」という話にしたくなる。でも自分が知りたいのは、どの仕事なら小さな判断へ分けられ、実際の失敗が減るかだ。
呼び出し回数ではなく、停止条件から決める
ゲームでもAgentでも、速いからといって毎フレーム呼べばよいわけではない。
通信が遅れたらどうするか。同じ状態で判断が揺れたらどうするか。確率が低いときに動かすのか。課金や回数制限へ到達したらどうするのか。
自分なら最初に次を決める。
- 判断が必要な状態変化だけで呼ぶ
- 同じ状態の結果は短時間キャッシュする
- 低い確率では安全な既定行動へ戻す
- 高い影響がある操作は人間へ戻す
- Jevが止まってもゲームやAgent全体は止めない
面白いAIを入れることより、AIがいないときの動きを先に作る。
そのほうが、Jevを気軽に試せる。
小さな判断を観察できるゲームを作りたい
Jevを入れたゲームで見たいのは、単に敵が強くなることではない。
なぜ攻撃したのか。どの状態を危険と見たのか。どの確率で逃げたのか。その判断はプレイヤーにとって面白かったのか。
判断と結果を残せば、ゲームバランスを感覚だけでなく記録から見直せる。
次に試すなら、敵一体の「攻撃・回避・待機」だけに範囲を絞る。既存のルールと比較し、面白さが増えたのか、遅延が気になるのか、同じ場面で判断が安定するのかを測りたい。
Jevをゲームの全部へ入れる必要はない。
まず一つの反射だけを任せる。そこから始めるのがよさそうだ。
第1回:「曖昧な世界を扱えるif文」なのかもしれない
第3回:確率・依存・判断データの出口







Agentの「頭脳」ではなく「反射神経」としてJevを使う、という説明がすごく分かりやすかったです。ゲームだけでなく、ツール選択やルーティングにも応用できそうですね。jev api で実際のワークフローに組み込んで試してみたいです。
楽しんでくれてありがとうございます。ぜひ実際のワークフローに入れてみてください!