Human Motionで作りたいのは、立派なゲームではない。人間モデルが坂を滑り、少し曲がり、ぶつかり、また滑る。その数十秒を、ついもう一度やりたくなる形にしたい。
無限に滑るゲームへ育てながら、試したことと起きたことをリアルタイムに残します。
最初は、ただ滑る体験
最初に必要だったのは、複雑なルールではありませんでした。坂の上に人を置き、下へ滑り出したら、左右だけで少し進路を変えられる。画面に触れてすぐ「おっ」と思えることです。
速すぎると何が起きたか分からない。遅すぎると、ただ待つ画面になる。人が自分の意志より少し先に進み、ぎりぎりで曲がれる速度がほしい。そのずれが、操作している感じと、見ていて笑える感じを一緒に作る。
Human Motionでは、人間の不器用さを消さない。完璧に走れるキャラクターより、少し慌てて姿勢を崩しながら滑る人のほうが、次の一回を試したくなるからです。
息子が気に入った理由
息子がいまの「人間を動かす」を何度も触ったのは、説明を読んだからではありません。画面を開いてすぐ人間を動かせて、操作の結果がすぐ返ってくるからだと思います。この反応を、無限滑走にも残します。
「できた」と「失敗した」が、どちらも短い時間で返ってくる。うまく動かせたときは自分の操作だと分かるし、変な動きになったときも、それ自体が面白い。負けても嫌な終わり方にならない。
子どもが気に入る理由を、派手な演出だけで説明したくありません。何をすればいいかが一目で分かり、その結果がすぐ返る。小さなゲームでは、この往復がいちばん大事です。
単純さと、少しだけ難しいこと
操作は少ないほどいい。ただし、何も考えなくていい状態にはしたくない。
左右に曲がるだけでも、坂の傾き、滑る速さ、障害物との距離が変われば、毎回同じにはなりません。「ここで少し右へ寄せる」「次は曲がりすぎない」と、体が先に覚え始める余地ができます。
難しさは、失敗を増やすためのものではありません。前より少し先へ行けた、前よりきれいに抜けられた、と自分で比べられるためのものです。説明書ではなく、もう一回の操作で分かる難しさにしたい。
AI時代の小さな抵抗
AIがゲームの案もコードも画像も素早く出してくれる時代です。だからこそ、最初から大きな世界や大量の機能を作るより、「この滑りは気持ちいいか」を何度も確かめる時間を残したい。
これはAIに反対するための抵抗ではありません。AIが広げてくれる選択肢のなかで、自分たちが本当に面白いと思う一点を選び直すための抵抗です。
息子が笑ったか。自分も、あと一回やりたくなったか。その答えは、仕様書や生成結果だけでは決まりません。実際に触り、失敗し、少し直して、また渡してみる。その小さな往復を残したい。
滑るゲームへ発展させる
まず、滑走が終わらない形を作りました。坂を繰り返しつなぎ、人は自動で滑る。操作は左右だけです。落ちても近くの坂へ戻し、すぐ続きを試せるようにしました。
道の幅や曲がり方、避ける場所や飛べる場所は、これから試します。ただし中心は変えません。人が滑り、左右で少し助け、次の景色へ入ることです。
スコアやアイテムは、滑ることが面白くなってから足します。先に数字の理由を作るのではなく、気持ちよく進めた結果として数字が残るほうがいい。
無限に続くゲームでも、最初の一回に必要な説明は増やさない。画面を開き、滑り、曲がり、落ちたらまた滑る。その単純さを守りながら、少しずつ遠くへ行けるゲームに育てます。
試したことと、どうなったか
2026年9月4日:まず無限に滑らせた
Human Motionに滑走専用モードを作り、既存の滑る動きをつなぎました。固定した11区間の坂を先へ送って再利用するので、道は終わりません。車を動かす仕組みを応用し、坂の傾きで加速し、左右で進路を変える形にしました。
最初は、ゲーム画面が高さ150ピクセルほどしかなく、下が白く余りました。ページ全体とゲームの高さを画面に合わせると、全画面で滑れるようになりました。
次に、坂と坂の間へ隙間ができ、速度も4.5ほどで止まりました。区間の終点と次の始点を直接つなぎ、常に少し下る形へ変更。100メートル地点で速度28.6、最高32まで伸び、隙間も消えました。
また、操作中にタブを切り替えると、左右入力が残る可能性がありました。画面から離れたときは入力を解除するように直しました。
PCでは、人が全画面の坂を滑り、道が途切れず続くところまで確認しました。テストは89件通過。ビルドと参照検査も通っています。スマートフォン幅と、長く遊んだときの気持ちよさは、まだ確認していません。
2026年9月4日:速さを目で感じられるようにした
ただ数字が増えるだけでは、速くなった感じが弱く見えました。そこで、坂の中央へ短い目印を置きました。速度18から薄い風の線を出し、27を超えると流れを強くしました。
曲がるときの人体も直しました。道の端にいるかどうかではなく、左右へ動く速さに合わせて体を傾けます。カメラは毎回新しい計算用オブジェクトを作らず、同じものを再利用する形にしました。
375ピクセルでは、見出しと距離表示が重なり、人体が左端へ切れました。距離表示を見出しの下へ移し、スマートフォンだけカメラを中央へ寄せました。375ピクセルと320ピクセルで、重なりと横方向のはみ出しはなくなりました。
テストは90件通過。ビルドと配信参照の検査も通りました。アイテム、順位、複雑なルールは、まだ足していません。
2026年9月4日:何もしなくても進むだけだった
実際に画面を見ると、進行方向と人体の向きが180度逆でした。向こうへ進んでいるのに、顔はこちらを向いている。余分な回転を外し、人体の正面を進行方向へ合わせました。
もう一つ大きかったのは、「何もしなくてもずっと進むだけで、面白みを感じない」という感想です。距離が増えるだけでは、左右ボタンを押す理由がありませんでした。
そこで、68メートルごとに左右位置の違うオレンジ色のFLOWゲートを置きました。ゲートを狙って通れば加速してFLOWが増える。外すとSLOWが出て、速度が55%まで落ちる。終わらずに滑り続ける単純さは残し、操作する理由だけを足しました。
何も操作せず最初のゲートを外し、SLOW、FLOW 0、減速を確認しました。テストは91件通過。375ピクセルと320ピクセルでも表示の重なりと横方向のはみ出しはありません。
2026年9月4日:速さを育て、飛んで取る
面白さの中心を「速くなること」に絞り直しました。滑るほど速度が14から最高48まで伸びます。左右で空中のリングへ狙いを合わせ、SPACEまたはJUMPで飛んで取ると、さらに速度が4.5増えます。
前のFLOWゲートは外しました。通過を強制して減速させるのではなく、取れたときだけ速くなる形です。終わらず滑る単純さは残しつつ、「次は取れるか」という小さな期待を置きました。
ジャンプ、着地、空中取得、速度加算を含むテストは92件通過。ビルドと配信参照検査も通りました。PC、375ピクセル、320ピクセルでリング、操作ボタン、人体の表示を確認し、新しい画面のコンソールエラーは0件です。
2026年9月4日:助走から着地までを一つにした
リングが一つずつ離れているだけでは、ジャンプする期待が続きませんでした。そこで約180メートルごとに左右どちらかのジャンプ台を置き、その先へ高さ3.5、6、7メートルのリングを3個並べました。
台の上で飛ぶと、速度が高いほど大きく跳びます。リングを取るたび通常最高速48を超え、3連取得時は速度58.1まで伸びました。最後はCLEAN LANDINGを返します。失敗してもゲームオーバーにはならず、そのまま次の台へ進みます。
最初の台は最高速で約0.14秒しか入力時間がなく、実画面では厳しすぎました。台を約13メートルへ伸ばし、約0.27秒の猶予へ変更。難しさは台を押す瞬間ではなく、左右のライン合わせと3連取得へ残しました。
HUDも最初のリングまでの距離ではなく、次の台までの距離を示す形へ修正。取得表示はRING 0/3から3/3まで、実際の連続取得数と一致させました。テストは96件通過。320ピクセルの実操作で3連取得、BOOST、着地成功を確認し、375ピクセルと320ピクセルの横方向のはみ出しは0です。
次に見ること
まず息子に渡し、「リングを取りたい」「もう一回」が起きるかを見ます。曲がり方、ジャンプの高さ、リングの間隔は、その反応を見て一つずつ直します。順位は、まだ足しません。
これからも、試したこと、実際に起きたこと、次に直すことをここへ追記します。
すべてがリアルタイムに流れる
ゲームを作ってから記事を書くのではありません。作ること、遊ぶこと、笑うこと、失敗すること、直すこと、書くこと。そのすべてが同じ時間のなかを流れていきます。
この記事にも、きれいな結論だけを残しません。その日に試したことと、そのとき起きたことを残す。ゲームが変われば文章も変わり、息子の反応があれば次の形も変わる。完成品の説明ではなく、作っている時間そのものを記録します。
公開しながら作り続ける
この記事は、完成報告ではありません。Human Motionのなかで、滑る感覚と難しさの配分を確かめながら更新します。
公開することだけを目的にせず、誰かが触ったあとに「もう一回」と言えるものになったかを見ます。試すたびに、結果と次の変更をここへ足していきます。






