最終更新: 2026年8月31日
AIが作ったUIは、なぜか似た顔になりやすい。
青いボタン。均等なカード。大きめの角丸。余白は整っているのに、どこかで見た画面になる。
そんな状態を変える道具として話題になっていたのが、Refero Stylesだ。公開画面と公式情報を調べると、これは「デザインを自動で完成させるサイト」ではない。色、書体、余白、角丸、部品の使い方を、AIが読める具体的なルールへ変える資料庫だ。
この記事はRefero Stylesの仕組みを調べてまとめたもので、筆者自身は実際には利用していない。ただし、公開画面と公式情報から、どのように使うサービスなのかは理解できる。
結論は明快だ。AIの勝手なデザイン判断はかなり減らせる。ただし、良いUIになるかは、選ぶ人と最後に見る人に残る。
2,000件以上のデザイン言語を検索できる
トップ画面には、2,000件以上のAI向けデザインシステムを閲覧できると書かれている。これはRefero側の公称値で、件数を独自に数えたものではない。

検索欄には、ブランド名だけでなく、スタイル、色、フォント、カテゴリも入れられる。
公開されている「Notion」の検索例では、Notionの候補が2件表示されている。その下にはVoicenotes、Goodnotes、Evernoteなど、ノートや文書に近い雰囲気の候補も並ぶ。完全一致検索だけではなく、近い方向を広げる入口にもなる仕組みだ。

Linearの例では、見た目がルールに分解される
公開されているLinearのページでは、左側に参照元サイトの画面、右側にAIが読める設計情報が表示される。

表示されたのは、単なるカラーパレットではない。
- 背景、文字、アクセントの色
- フォント、文字サイズ、ウェイト、行間、字間
- 4pxを基準にした余白
- ボタン、カード、入力欄、バッジの形
- やること、やらないこと
- レイアウトと画像の扱い
- AIへ渡せる部品ごとの指示例
たとえばLinearの例では、暗い背景、白い文字、酸味のあるライム色を主な行動に限定すること、カードは12px、ボタンは6px、境界は細い線で作ることなどが文章になっていた。
「モダンでかっこよく」と頼むより、AIの迷う余地が小さい。
DESIGN.mdだけでなく4形式を選べる
画面右上には4つの形式があった。
| 形式 | 向いている使い方 |
|---|---|
| DESIGN.md | CodexやClaude Codeへ、文章とトークンをまとめて渡す |
| Tailwind v4 | Tailwindのテーマ変数として使う |
| CSS Variables | 既存CSSへカスタムプロパティとして取り込む |
| Design Tokens | 色、書体、余白などをJSONで扱う |

各形式にはCompactとExtendedがある。公開されているLinearのDESIGN.mdを調べた範囲では、Extendedは21,839文字、Compactは11,561文字で、Compactは約53%の長さだった。
画面上にはコピー機能があり、ExtendedにはQuick StartとDo/Don'tも含まれている。
画面には個別ファイルのダウンロードボタンもある。ただし、SNS投稿で見かけた「2,000件以上を一括ダウンロードできる」という動作は、公開情報からは確認できなかった。確認できたのは、選んだスタイルを1件ずつコピーまたは保存する流れだ。
DESIGN.mdは、AIへ渡す「判断の土台」になる
強いのは、AIへ色名だけを渡さないことだ。
「この色は主な行動にだけ使う」「カードは影ではなく細い境界線で分ける」「見出しでは太すぎるウェイトを使わない」という役割まで書かれている。
同じコード生成AIでも、何も渡さなければ一般的な色や角丸を選ぶ。DESIGN.mdがあると、選択肢が狭まり、画面内の統一感を作りやすくなる。
ここで大切なのは、AIにセンスが移植されるわけではないことだ。参照画面が、AIの読める制約へ変換される。
置くだけで良いUIになるわけではない
DESIGN.mdが決めるのは、主に見た目の語彙だ。
読者が最初に何を見るか。どのボタンを押すか。情報をどの順番に置くか。スマホで迷わないか。そうした体験までは、自動で決まらない。
目的に合わないスタイルを選ぶと、統一感は出ても使いにくくなる。Linearの密度や暗い画面は、作業ツールには合うかもしれない。子ども向けの遊びや、写真を主役にする記事へそのまま当てると、魅力を消す可能性がある。
もう一つ注意したい。Refero Stylesのデータは、各社が配布する公式デザインシステムとは限らない。画面には参照URLと抽出日時が含まれていた。Linearの例では2026年7月3日だった。公開サイトを観察して言語化した参照資料として使い、現在の公式仕様そのものとは考えないほうが安全だ。
ロゴ、写真、文章、固有の部品をそのまま複製するための道具でもない。借りるのは、色の役割、余白のリズム、情報密度、境界の作り方といった判断だ。
Codexで使うなら、最初は1画面だけにする
いきなりサイト全体へ当てない。まず1画面で比べる。
- 作るものに近いスタイルを1つ選ぶ
- 最初はCompactをコピーする
- プロジェクトに
DESIGN.mdとして保存する - Codexへ、対象画面と変えない機能を伝える
- PCとスマホを実際に操作する
- 合わない規則を人が外す
依頼文は、次の程度で始められる。
DESIGN.mdをデザイン判断の参考にしてください。
対象はダッシュボードのトップ画面だけです。
既存の機能、文章、URL、アクセシビリティは変えません。
ロゴ、写真、固有コピーは模倣しません。
適用した規則と、適用しなかった規則を最後に分けてください。
PCと375pxで、実際の操作まで確認してください。
この一文が重要だ。
DESIGN.mdは命令書ではなく、判断の参考にする。
既存の要件、アクセシビリティ、読みやすさと衝突したら、そちらを優先する。そう指定すると、見た目だけをコピーする事故を減らせる。
Refero MCPは別の有料経路
Refero Stylesの各ページには「Connect via MCP」も表示される。
Refero MCPの公式ページによると、MCPは実在するプロダクト画面やユーザーフローをAIから検索する機能だ。利用にはRefero Proが必要で、公式ドキュメントには月8,000ツール呼び出しと書かれている。
Stylesで1件ずつ選び、DESIGN.mdをコピーする使い方と、MCPでAIから調査する使い方は分けて考えたほうがいい。まず試すだけなら、Stylesの画面で十分に中身を確認できる。
「AIっぽさ」を消すのではなく、自分の判断を増やす
Refero Stylesは、話題になる理由が分かる道具だった。
曖昧だった「いい感じ」を、色、書体、余白、部品、禁止事項へ落とせる。CodexやClaude Codeは、その具体性を使って画面を揃えられる。
ただし、誰かのデザイン言語を選んだだけでは、自分のプロダクトにはならない。
最後に必要なのは、「なぜこの色なのか」「この余白は誰のためか」「この画面で一番見せたいものは何か」を決めることだ。
AI特有のUIを消す近道は、AIへ全部決めさせることではない。人が選んだ判断を、AIが読める形で渡すことだった。







人間のやり方を見る観察する