「ELI5」は、複雑な仕組みを、専門知識のない人にも伝わる図解へ変換するAIスキルです。長い説明文ではなく、大きな図と少ない言葉を使ったHTMLを生成します。
AIに難しい技術を質問したら、さらに難しい言葉で返ってきた。
そんな経験はないでしょうか。
ELI5とは?
ELI5は「Explain Like I’m 5」の略です。直訳すると「私を5歳だと思って説明して」。インターネットでは以前から、難しい話を初心者向けに説明してもらうときに使われてきた表現です。
今回話題になっているELI5は、Claude Codeで利用できるコミュニティスキルです。公式のプラグイン説明には、次の一文があります。
a dead-simple HTML picture explainer with big visuals and few words.
日本語にすると、「大きなビジュアルと少ない言葉で作る、とても簡単なHTML図解」です。ELI5のplugin.json
何をしてくれるのか
Claude Codeで、次のように入力します。
/eli5 RAGの仕組み
すると、RAGの説明を長い文章で返すのではなく、「質問する → 関係する資料を探す → 必要な部分を読む → 資料をもとに回答する」のような流れへ変えてくれます。

ELI5のスキル本体にも、次の指示があります。
someone who knows nothing about this topic
つまり、文字どおり5歳児へ話すのではなく、「その分野について何も知らない人」を出発点にします。ELI5のSKILL.md
単に幼い言葉へ置き換えるのではありません。説明を理解するために必要だった前提知識を、いったん外してくれるのです。
なぜ話題になったのか
AIの長文問題を、出力形式から変えた
AIへ「簡単に説明して」と頼んでも、専門用語を言い換えただけの長文が返ってくることがあります。
ELI5は、説明内容だけでなく、答えの形まで先に決めます。
- HTMLにする
- 大きな図を使う
- 言葉を少なくする
- 予備知識のない人へ説明する
AIにもっと詳しく書かせるのではなく、見る人が理解しやすい形へ変える。ここが普通の「簡単に説明して」と違うところです。
スキル本体が驚くほど短い
ELI5のSKILL.mdは、わずか数行です。それでもAIの出力は、普通のチャット回答から視覚的な説明へ大きく変化します。

スキルとは、大量のプログラムを追加するものとは限りません。「どう考え、どんな形で答えるか」を固定する短い仕事手順でも成立します。
Claude Codeの公式ドキュメントでは、スキルをSKILL.mdに保存し、必要な場面で読み込ませられると説明しています。個人用、プロジェクト用、プラグイン用で保存場所を分けることもできます。Claude Code公式ドキュメント
結果をそのまま見せやすい
通常のAI回答は、チャットの中で読むものです。ELI5が作るのはHTMLなので、ブラウザで開いたり、チームで見たり、説明資料のたたき台にしたりできます。
「自分だけが理解する回答」から「他人にも見せられる説明」へ変わる点が、実用上の大きな違いです。
Claude CodeへELI5を入れる方法
ELI5は、Anthropicのコミュニティプラグインとして公開されています。
Claude Codeを開き、次のコマンドでコミュニティマーケットプレイスを追加します。
/plugin marketplace add anthropics/claude-plugins-community
続いて、ELI5をインストールします。
/plugin install eli5@claude-community
これは、Anthropicのコミュニティマーケットプレイスが案内している導入方式です。Claude Plugins Community
インストール後、Claude Codeのプラグイン一覧でeli5が有効になっているか確認します。表示されない場合はClaude Codeを再起動します。
ELI5の使い方
基本形は次のとおりです。
/eli5 説明してほしい内容
たとえば、次のように使えます。
/eli5 APIとは何か
/eli5 このプロジェクトのログイン処理
/eli5 なぜこのテストが失敗したのか
/eli5 WordPressでページが表示される仕組み
図を増やしたい場合は、条件も追加できます。
/eli5 RAGの仕組みを、3つ以上の図と矢印を使って説明して
比較を見たい場合は、次のように頼めます。
/eli5 従来の検索とRAGの違いを左右に並べて説明して
Codexで試す方法
公開版はClaude Code向けプラグインですが、スキル本体は標準的なSKILL.md形式です。Codexのスキルインストーラーでは、GitHub上のスキルディレクトリを指定できます。
$skill-installer install https://github.com/anthropics/claude-plugins-community/tree/main/eli5/skills/eli5
インストール後はCodexを再起動し、次のように呼び出します。
$eli5 RAGの仕組み
OpenAIの公式スキル集でも、GitHubのディレクトリURLを指定して導入し、インストール後にCodexを再起動する方法が案内されています。OpenAI Skills
ただし、ELI5はClaude Code向けに作られています。Codexでも指示部分は利用できますが、HTMLの表示方法や生成結果が完全に同じになるとは限りません。
ELI5が向いている場面
- 新しい技術の全体像を最初につかむ
- 認証やAPIの流れを非エンジニアへ説明する
- 新しいメンバーへプロジェクト構造を見せる
- 障害がどこから始まり、何へ影響したか整理する
- 自分が理解できていない部分を見つける
複雑な仕組みを短い図にできない場合、自分でもまだ整理できていない部分が見つかります。
ELI5だけでは足りない場面
ELI5は、正確な仕様書の代わりにはなりません。
- 正確な数値の確認
- 細かな条件分岐や例外の確認
- セキュリティ監査
- 法律や医療情報の判断
- コードの修正
- 本番障害の原因確定
ELI5は「細部を証明する道具」ではなく、「全体像をつかむための地図」です。入口を理解した後は、公式資料や実際のコードで細部を確認します。
外部スキルを入れる前の注意
AIスキルは、AIへ渡す追加指示です。中にはスクリプトや外部通信を含むものもあります。
インストール前に、少なくとも配布元、SKILL.md、同梱スクリプト、実行コマンド、外部へ送る情報、ファイル変更や削除の有無を確認してください。
今回紹介したELI5は、Anthropicのコミュニティマーケットプレイスに掲載されています。同リポジトリは、掲載プラグインについて自動セキュリティスキャンと配布審査を通過したものだと説明しています。Anthropicコミュニティリポジトリ
それでも、外部スキルは中身を読んでから使う習慣を持つのが安全です。
ELI5は理解の入口を作るスキル
ELI5は、難しい内容を単に短くするスキルではありません。
文章中心だったAIの説明を、大きな図と少ない言葉を使った「最初に見る地図」へ変えるスキルです。
とくに面白いのは、数行の指示だけでAIの出力体験が大きく変わることです。
AIにもっと詳しく答えさせるのではなく、見る人が理解できる形に変える。ELI5が話題になった理由は、この発想の分かりやすさにあります。






