AIに作らせる前に、まずReport Firstで現状を知る

公開日 · 更新日 · 7 MIN READ · 理解の記録

RECORD / 2026

AIにプログラムを作ってもらう前に、まず現状を知りたい。そんなときに使えるのがReport Firstです。

Report Firstは、プロジェクトの現状、課題、未確認事項を短く整理するSkillです。解決策を急いで出しません。人間が判断するための地図を先に作ります。

Report Firstを作った理由は、現状を俯瞰したかったから

AIに相談すると、すぐに修正案や実装方法が返ってきます。

それは便利です。ただ、何が起きているのかを十分に見ないまま、次の行動へ進んでしまうことがあります。

「自分は何を知っていて、何をまだ知らないのか」を一度整理したい。そう思って作ったのがReport Firstです。

最初から正しい答えを出すためではありません。判断する前に、現在地を見えるようにするためです。

私自身、最初は悩みをうまく言葉にできませんでした。作りたいもの、困っていること、まだ確かめていないことが、頭の中で一つの塊になっていたからです。

その失敗を図にすると、左側のような状態です。Report Firstでは、その塊を全体像・課題・未確認に分けます。すると、次に何を判断すればよいかが見えてきます。

頭の中で混ざった悩みを、Report Firstで全体像・課題・未確認に分けて整理するイメージ
悩みをそのまま解決しようとせず、まず分けて見る。

AIにいきなり修正させると、問題を取り違えやすい

初心者がAIでプログラムを作るとき、最初に「ここを直して」「この機能を追加して」と頼みがちです。

しかし、見えている症状が原因とは限りません。

  • どのファイルが実際に動いているのか
  • いつから問題が起きているのか
  • 期待する動作は何か
  • まだ確認できていないことは何か

ここを整理しないまま修正すると、AIがもっともらしいコードを出しても、問題の中心から外れることがあります。

Report Firstは3つだけに分けて報告する

Report Firstの出力は、次の3つです。

混ざった悩みを3枚のカードに分けて整理するイメージ
まず、全体像・課題・未確認を分けて見る。

1. 全体像

何があり、どうつながっているかを整理します。

2. 課題

現在わかっている問題や、目的とのズレを示します。

3. 未確認

まだ事実として確かめられていないことを分けます。

この3つを混ぜないことが大切です。推測を事実のように書かないためです。

Report Firstは修正案を出さない

Report Firstの役割は、判断の前段階までです。

  • 実装しない
  • ファイルを変更しない
  • 公開しない
  • 削除やデプロイをしない
  • 解決策を勝手に決めない

人間は、レポートを見てから「何を優先するか」「どこまで直すか」「このまま進めるか」を決めます。

AIに任せる範囲を増やすほど、人間の判断を先に置くことが重要になります。

初心者向けの使い方

使い方は3段階です。

  1. Skillをインストールする
  2. 新しい会話でReport Firstを呼び出す
  3. レポートを見てから、人間が次の行動を決める

新しい会話で、次のように入力します。

/report-first
このプロジェクトを俯瞰してレポートしてください。
出力は「全体像・課題・未確認」の3つだけにしてください。
解決策、実装、質問は不要です。

Codexなど、Skill名を$で呼ぶ環境では、次の書き方もできます。

$report-first
このプロジェクトの現状・課題・未確認を整理してください。

具体例:ボタンが動かないとき

「ボタンを押しても動かない。JavaScriptを直して」と頼む前に、Report Firstを使います。

すると、次のような観点で確認できます。

  • ボタンが表示されているファイル
  • 読み込まれているJavaScript
  • クリック時に実行される処理
  • ブラウザにエラーが出ているか
  • 本当に期待する動作が決まっているか

この結果を見てから、修正するのか、仕様を決め直すのかを人間が選びます。

Grill Meの前にReport Firstを使う

Grill Meは、目的や優先順位を質問で深掘りするSkillです。

ただし、質問に答えるための前提がまだ曖昧なことがあります。

そのときは、先にReport Firstを使います。

混乱した状態から整理し、人間が判断して質問で深掘りする流れ
現状を知る。人間が決める。そのあとでGrill Meを使う。
Report Firstで現在地を確認する
  ↓
全体像・課題・未確認を分ける
  ↓
人間が目的と優先順位を考える
  ↓
Grill Meで考えを深掘りする

「何が起きているかわからない」ときはReport First。
「何を作るべきか決めきれない」ときはGrill Meです。

Report FirstとGrill Meを使い分ける

Report Firstは、現状を俯瞰するためのSkillです。

Grill Meは、そのレポートを見たあとに、目的や優先順位を質問で深掘りするために使えます。

レポートを見て、目的や優先順位が決まっているなら、そのまま実装や検証へ進めます。
まだ判断に迷うなら、Grill Meで質問してもらいます。

CodexとClaude Codeへの入れ方

GitHubのattrip/attripthemaにあるreport-firstを、使うエージェントごとに入れます。対象リポジトリのルートで実行してください。

Codexの場合:

npx skills@latest add attrip/attripthema --skill report-first --agent codex -y
# 日本語なら「CodexにReport Firstを入れて」という意味

Claude Codeの場合:

npx skills@latest add attrip/attripthema --skill report-first --agent claude-code -y
# 日本語なら「Claude CodeにReport Firstを入れて」という意味

Codexは.agents/skills/report-first/、Claude Codeは.claude/skills/report-first/に入ります。Claude Codeで全プロジェクトから使う場合は、--globalを追加します。

インストール後、Codexは$report-first、Claude Codeは/report-firstを入力してください。

$report-first
# 日本語なら「このプロジェクトを俯瞰し、全体像・課題・未確認を整理して」という意味
Please map this project's current state.
Output only: Current State, Issues, and Unknowns.
Do not propose fixes or implementation yet.

SkillのソースはGitHubのReport Firstで確認できます。

最初に現状を知ると、AIとの分担が変わる

AIに最初から答えを出させるのではなく、まず現状を整理させる。人間は、その情報をもとに判断する。

この順番にすると、AIが勝手に問題を決める危険を減らせます。

プログラム初心者にとって、最初に覚えるべきAIへの頼み方は「作って」だけではありません。

まず、何が起きているかをReport Firstで整理して。

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