箱にスマホを向けると、選手の顔に黄色い枠が次々と現れた。
カレーの箱なのに、カメラが最初に見つけたのはカレーではなく「顔」だった。
昨日食べたアパ社長カレー。今回は、日本代表選手が描かれたSAMURAI BLUE版だ。
社長の顔と日本代表。かなり目立つパッケージだが、これは本当に売上につながるのだろうか。アパ社長カレーの始まり、販売数、パッケージの理由、広告効果を調べた。

スマホが選手の顔を次々に検出した。撮影:提供写真
アパ社長カレーとは?
アパ社長カレーは、アパホテル直営レストランで生まれたビーフカレーだ。
金沢カレーをイメージし、牛肉や野菜の甘みとオリジナルスパイスを特徴としている。レトルト版は200g入りで、千切りキャベツを添える食べ方も紹介されている。
最初から家庭用商品だったわけではない。もともとは、アパホテルのレストランで使う業務用カレーとして開発された。

ホテル発の商品が、話題性のあるパッケージで広がっていく様子を表したイメージ差し絵。
アパ社長カレーはいつから始まった?
発売日は2011年4月1日。
発売直前の2011年3月には、東日本大震災の被災地支援として約3,000食が宮城県へ送られた。
その後、レストラン用のカレーがレトルト商品として販売され、宿泊者以外にも知られるようになった。詳しい開発経緯は、アパ社長カレー10周年の公式発表で確認できる。
アパ社長カレーは何食売れた?
アパホテルの発表によると、2026年4月に累計1,500万食を突破した。
ただし、この数字には家庭向けのレトルト商品だけでなく、飲食店で使われる業務用商品も含まれている。
現在の公式価格500円を単純に掛けると75億円になるが、これは実際の売上高ではない。過去の価格、業務用価格、卸売価格、販売店の取り分、製造費、物流費が含まれていないからだ。
累計1,500万食を発表したアパホテルの資料でも、業務用商品を含むことが説明されている。
なぜカレーの箱に社長の顔があるのか?
元谷拓氏の書籍抜粋によると、当初の商品名は「アパホテルの本格派ビーフカレー」だった。
しかし、「アパホテルといえば社長」という発想から、商品名を「アパ社長カレー」に変更。パッケージにも社長の顔を入れることになったという。
狙いは、商品を目立たせて手に取ってもらうことだ。
ホテルのフロントに置けば、宿泊者が「何だこれは」と気づく。買った人が話題にすれば、広告を見ていない人にも商品が伝わる。
社長の顔は飾りではない。箱そのものを広告にする仕掛けだった。元谷拓氏による背景説明として読むと、この商品の奇抜さが分かりやすい。
日本代表版は広告費として元が取れるのか?
SAMURAI BLUE版は、2024年9月2日から日本代表の公式カレーとして販売された。日本サッカー協会の公式発表では、オフィシャルカレーとオフィシャルごはんの契約が発表されている。
ただし、JFAとの契約費、選手やロゴの使用料、日本代表版だけの販売数や利益は公表されていない。
そのため、「日本代表版だけで広告費を回収できた」とは言えない。
一方で、日本代表のパッケージには、通常の商品にはない効果がある。
- ファンが記念品として買いやすい
- 店頭やホテルフロントで目立つ
- 日本代表とアパホテルを同時に宣伝できる
- 既存商品の販売促進にもなる
これは、カレーだけで利益を出す企画というより、カレー販売と広告宣伝を一緒に行う施策と考えるほうが自然だ。
アパ社長カレーはどこで買える?
アパ社長カレーは、公式オンラインショップやアパホテルのフロントなどで購入できる。
公式サイトでは、レトルト1個500円(税込)と案内されている。店舗によって在庫や販売状況が違うため、購入前にアパ社長カレー公式ページを確認したい。
アパ社長カレーの強みは「見てもらうこと」
アパ社長カレーは、2011年4月1日に始まったアパホテルのレストラン発祥のカレーだ。
2026年4月には累計1,500万食を突破した。ただし、業務用商品も含む数字なので、家庭向けレトルトだけの販売数ではない。
社長の顔は、商品を覚えてもらい、手に取ってもらうための広告装置だった。
日本代表版の費用と利益は非公開だ。それでも、カレー、日本代表、アパホテルを同時に宣伝できる点では、かなり記憶に残る広告だと思う。
アパ社長カレーで一番強いスパイスは、辛さではなく「見てもらう仕掛け」なのかもしれない。





