ポアソン分布は一定時間内の発生回数。ガンマ分布は指定回数のイベントが起きるまでの待ち時間です。同じランダムな出来事を、回数から見るか、時間から見るかの違いです。
問い合わせ、購入、クリック、エラーを扱うとき、この違いが分かると数字の見方が変わります。下の実験画面では、λ、α、θを動かして分布の形とシミュレーションを確かめられます。
ポアソン分布の例を探している人は「発生回数 分布」として。ガンマ分布の例を探している人は「待ち時間 分布」として読むと迷いません。ポアソン分布 ガンマ分布 違い、ポアソン分布 マーケティング、ガンマ分布 マーケティングの順にもつながります。
触って変わる統計
回数と待ち時間を動かして見る。下のスライダーを動かすと、グラフと数字がその場で変わります。
触って変わる統計
HTMLソースをダウンロード試行回数を増やす
棒はシミュレーション、点線は理論確率です。
ポアソン分布:一定時間内の回数
ガンマ分布:指定回数までの待ち時間
同じイベントを回数と待ち時間で見る
分布は「横軸の値がどれくらい起きるか」の地図
分布は、起きうる値と、その値の起きやすさを並べたものです。
1時間あたりの問い合わせ件数なら、横軸は0件、1件、2件という件数。縦軸はその件数になる確率です。
ポアソン分布の棒グラフは、0.5件や2.5件には棒が立ちません。問い合わせ件数は整数だからです。一方で、待ち時間は2.35分のように途中の値を取れます。ガンマ分布のグラフが曲線になる理由はここにあります。
実験画面の最初の「試行回数」を100、1,000、10,000と増やしてください。棒はランダムに揺れます。回数が増えるほど、各棒の割合が点線の理論確率に近づきます。試行回数を増やしても、整数を表す棒グラフが曲線になるわけではありません。
ポアソン分布は一定時間内に何件起きるか
ポアソン分布とは、一定時間・一定区間でイベントが何回起きるかを表す離散確率分布です。NISTも、一定の時間区間で起きるイベント数を扱う分布として定義しています。NIST/SEMATECH「Poisson Distribution」
ポアソン分布の例です。
- 1時間の問い合わせ件数
- 1日の購入件数
- 1分間のエラー件数
- 一定期間内のクリック数
- 一定時間内のコンバージョン数
- X:イベントの発生回数
- k:実際に起きた回数。0、1、2、3…の整数
- λ:一定時間内の平均発生回数
- e:自然対数の底
- k!:kの階乗
平均、分散、標準偏差は次のようになります。
- 平均:λ
- 分散:λ
- 標準偏差:√λ
λが小さいと、0件側に山があり右へ裾を引きます。λを大きくすると山は右へ動き、横幅そのものも広がります。標準偏差は√λだからです。ただし平均に対する広がりと歪みは小さくなるため、形は相対的に左右対称へ近づきます。グラフは最後まで整数の棒グラフです。
ガンマ分布は指定回数まで何分待つか
ガンマ分布とは、イベントが指定回数起きるまでの待ち時間を表せる連続確率分布です。
- 3件目の購入が発生するまでの時間
- 5件目の問い合わせが来るまでの時間
- 一定回数の故障が起きるまでの時間
- 複数回目の来店までの期間
ここでは表記をshape α とscale θ に統一します。NISTもshapeとscaleの表記を使い、平均をαθ、分散をαθ²として示しています。NIST「Gamma」
- x:待ち時間。0より大きい連続値
- α:shape。何回目のイベントまで待つかに対応する形状パラメータ
- θ:scale。時間の伸び縮みを決める尺度パラメータ
- Γ(α):ガンマ関数
- 平均:αθ
- 分散:αθ²
- 標準偏差:√α × θ
発生率をλで表す場合は、θ = 1 / λです。記事内のグラフはαとθを使います。rateとscaleを混ぜないためです。
α = 1では、次の1件まで待つ時間を表す右下がりの指数分布です。αを増やすと山は右へ移り、平均に対するばらつきと右への歪みは小さくなります。θを増やすと、分布全体を横へ引き伸ばします。平均とばらつきは大きくなりますが、形そのものは変えません。横軸には0.1秒、2.35分、5.5日のような連続値が入ります。
指数分布は「次の1件」までの待ち時間
ガンマ分布でα = 1のとき、指数分布になります。NIST「Gamma」
- 次の1件まで待つ:指数分布
- 3件目まで待つ:shape α = 3 のガンマ分布
- 5件目まで待つ:shape α = 5 のガンマ分布
実験画面の時間軸では、イベントの間隔を指数分布から作っています。乱数は逆関数法です。
Uは0以上1未満の一様乱数です。こうして作った間隔を足していくと、3件目や5件目までの時間になります。
回数と待ち時間は同じポアソン過程の別の見方
平均して1時間に5件の購入が起きるECサイトを考えます。
ポアソン分布は「1時間に何件起きるか」を見ます。ガンマ分布は「3件目の購入まで何分かかるか」を見ます。
実験画面の切り替えボタンを使うと、同じイベント列の表示だけが変わります。回数の表示では経過時間と件数。待ち時間の表示では3件目と5件目に届いた時刻を出します。
さらに学びたい人へ
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| 見たいこと | 分布 | 例 |
|---|---|---|
| 一定時間内に何件か | ポアソン分布 | 購入件数、問い合わせ件数、エラー件数、コンバージョン件数、来店件数 |
| 指定件数までどれだけ待つか | ガンマ分布 | 指定件数の購入、複数回目の問い合わせ、再購入、一定回数の行動、故障までの時間 |
実データが必ずポアソン分布やガンマ分布に従うわけではありません。曜日、広告配信、季節性、顧客属性、キャンペーン、時間帯で発生率が変わるなら、単純なモデルではずれます。平均より分散がかなり大きいなら、過分散です。負の二項分布なども候補になります。
FAQ
ポアソン分布にはどのような数字が入りますか?
0、1、2、3…の非負整数です。2.5件は入りません。
ガンマ分布にはどのような数字が入りますか?
0より大きい連続値です。0.1分、2.35分、5.5日のような待ち時間を扱えます。
ポアソン分布とガンマ分布の違いは何ですか?
ポアソン分布は一定時間内の発生回数。ガンマ分布は指定回数までの待ち時間です。
指数分布とガンマ分布の違いは何ですか?
指数分布は次の1件まで。ガンマ分布は複数回目までの待ち時間も扱えます。α = 1なら両者は同じです。
マーケティングではどのように使いますか?
購入件数や問い合わせ件数を見たいならポアソン分布。何件目の購入や問い合わせまでの時間を見たいならガンマ分布が入口になります。
実際のデータがポアソン分布に合わない場合はどうしますか?
まず曜日、広告、季節性などで発生率が変わっていないかを見ます。過分散なら負の二項分布も検討します。










