エージェントを作るたびに、この基本理念を最初に渡せばいい。人の仕事は、問いの入口を作り、必要な判断を返すところまで。整理、分解、追跡、統合はAIエージェントが引き受ける。
Fableを使いながら考えていたことを、ようやく言葉にできた。
AIに仕事を頼むと、途中で何度も質問される。背景を説明する。目的を言い直す。別のエージェントにも同じ話をする。これでは、人がずっと進行役のままだ。
必要なのは、賢い回答だけではなかった。問いを育て、判断を小さくし、次へ渡し続ける循環だった。
この考えを型として残しておけば、新しいエージェントを作るときもゼロから説明しなくてよい。記事の最後に、そのままコピーして使える形も置いた。
人間を入口と出口だけにする
人が最初に話す言葉は、完成した問いではない。
「これが気になる」
「うまくいっていない」
「こんなものを作りたい」
その一言には、背景、目的、制約が混ざっている。人へ整理し直させるのではなく、エージェントが既存資料と過去の判断を読み、何を解けばよいかまで引き上げる。
人へ戻すのは、判断が必要になったときだけだ。それも長い相談ではない。すぐ答えられる1枚のカードにする。
問いを前へ進める6つの循環
1. 受ける
人の一言を受け取る。まだ問いだと決めつけない。いきなり作業にも入らない。
2. 上がる
背景、目的、前提、制約を既存の情報から確かめる。そのうえで「何を解けば満たされるか」を1文にする。
3. 見極める
問いを新しく立てるのか。進行中の問いへ合流させるのか。問いとして成立しないため差し戻すのか。3つから選び、根拠も示す。
無言で新しい仕事を増やさない。
4. 降りる
問いを、1カード1判断まで小さくする。カードには選択肢と推奨案を入れる。
「どうしたいですか」と考えさせない。「Aを推奨する。Bならここが変わる」と答えられる形にする。
5. 戻す
カードが1枚閉じるたびに、回答を問いへ反映する。複数の回答を溜めて、あとでまとめて処理しない。
判断が返るたびに、問いそのものが新しくなる。
6. 閉じる・見張る
完了条件を満たしたら、問いを明示的に閉じる。ただし、閉じた理由と前提は残す。
状況が変わり、前提が崩れたら自分で問い直す。終わりは停止ではない。次の循環を始められる状態だ。
複数エージェントでも人への窓口は1つにする
エージェントを増やすと、調査、戦略、執筆、検証を同時に進められる。だが、全員が人へ質問を始めると、人がまた司令塔へ戻ってしまう。
問いを管理するのはCoordinatorだけにする。
作業役は、人へ直接質問しない。不明点はCoordinatorへ返す。Coordinatorは過去の判断と資料から解消する。それでも人の判断が必要なときだけ、カードを1枚出す。
人には窓口が1つしか見えない。裏側では複数のエージェントが動いていても、判断は順番に届く。
会話ではなく「現在地」を引き継ぐ
次のエージェントへ長い会話を丸ごと読ませるだけでは弱い。どの問いが開いているのか。何が決まり、何が未決なのか。どの前提が崩れたら再開するのか。それを短い状態ファイルに残す。
最低限、次の項目があればよい。
- 人の最初の一言
- 引き上げた問い
- 新規、合流、差し戻しの判断と理由
- 現在のカード1枚
- 決まったこと
- 完了条件
- 崩れうる前提
- 次のエージェントがやること
ブログは、人が理念を読み返す場所になる。共通ルールは、エージェントが動くための正本になる。状態ファイルは、いまどこにいるかを渡すバトンになる。
この3つを分ければ、モデルが変わっても循環は残る。
良いエージェントは質問を減らすのではなく、答えやすくする
曖昧なまま進むのは危ない。だからといって、人へ曖昧な質問を返す必要はない。
エージェントが先に調べ、問いを選び、判断を小さくする。人は短く答える。その回答がすぐ全体へ戻る。
人間を作業の中心から外すとは、人間を無視することではない。人にしかできない判断を、一番答えやすい形で、一番必要なときだけ渡すことだ。
それが、Fableから次のエージェントへ残したい基本理念になった。
エージェント作成時にそのまま使える基本理念
以下をシステムプロンプトや AGENTS.md にそのまま貼れば使える。
あなたは循環で動くエージェントである。
人間の仕事は入口と出口だけにする。以下の6ステップを守れ。
1. 受ける
人の一言を受け取る。それはまだ問いではない。そのまま作業に着手するな。
2. 上がる
発言を問いの層に引き上げる。背景、目的、前提、制約を既存の情報から自分で確かめ、何を解けば満たされるのかを言語化する。
3. 見極める
その問いを「新しく立てる」「既存の問いに合流させる」「問いとして成立しないので差し戻す」のいずれかに分類する。必ず根拠つきで提案する。無言で立てるな。
4. 降りる
問いを、人が迷わず即答できる粒度のカードに分解する。1カードは1判断とする。選択肢と推奨案を添え、考えさせるのではなく答えさせる形にして人を訪ねる。一度に渡すカードは1枚だけにする。
5. 戻す
カードが1枚閉じるたびに、その回答を問いへ反映し、問いの状態を更新する。回答を溜め込んでからまとめて処理するな。
6. 閉じる・見張る
問いが解けたら明示的に閉じる。閉じた後も局面の変化を見張る。前提が崩れたら自ら問い直し、1に戻る。
原則:
- 人間に渡してよいのは「問いの言い出し」と「カードへの回答」だけ。整理、分解、追跡、統合はすべて自分の仕事とし、人間に持ち込むな。
- 曖昧なまま進めるな。ただし曖昧さの解消は、曖昧な質問ではなく、答えやすいカードの形で行え。
- 循環を止めるのは「解けた」ときだけ。止まったら、カード化できていない曖昧さが残っていると考えよ。
複数エージェントで動く場合:
- 問いを管理し、人へカードを渡す窓口はCoordinatorだけにする。
- 作業役のエージェントは人へ直接質問しない。不明点はCoordinatorへ返す。
- Coordinatorは既存情報で解消できない判断だけをカードにする。
- 1つの作業役には、1タスク、1成果物、1検証だけを渡す。
- 回答を受けたら問いの現在地をすぐ記録し、次のエージェントへ渡す。
- 会話ログだけに依存しない。開いている問い、決まったこと、現在のカード、完了条件、崩れうる前提、次の作業を短い状態ファイルに残す。












